「こどもたちを優先」しているか?

2010年9月24日

このサイトをリニューアルするのは、5年ぶり位です、申し訳ありません。
コラムの書き込みも、それ以来です。
最後のコラムを書いたのは、ジーコがまだ代表監督だった時ですから、2006年以前ということになります。コラムで触れたマラドーナは今年2010の南アフリカワールドカップで監督として「マフィアのドンのような」(うちの愛妻の発言)存在感をみせていました。サッカーは、ますますスピードアップ、パワーアップ、技術アップし、もし日韓大会のビデオと今大会のビデオを見比べる機会があれば、その進化は歴然だと思います。

私自身にも、身辺を含めいろいろな変化がありましたが、サッカーに関して言えば、<サッカーというスポーツ>について考えていたのが、<サッカーを通して>いろいろなことについて考える、ようにスタンスが変わってきています。

<サッカーをとおして>ですから、いろいろなことに考えがおよぶのですが、具体的に一例をあげれば、<子どもにコーチする、教える>ことについて考えることから、<子どもにどんな環境を与えられるか?>というようなことに視野が広がっています。トレーニングやチーム作りについて考えるのは、今まで通りですが、我々スタッフや、我々のコーチングも、<子どもたちの環境>の一部にすぎない。チーム運営をするのなら、もっと広い視野が必要だ、というふうに考えが変わってきた(遅ればせながら)ということです。

「環境」と一口でいっても、いろいろなことが含まれますが、チームとしては活動拠点(練習グランド)は「環境」の大きな一要素です。

現在、2つの小学校のグランドを借用させていただいていますが、貸していただくためには、それなりの苦労があったのは過去の保護者の方だけでなく、現在の保護者の方の何人かもご存じのことと思います。一時期は、練習グランドが確保できないこともありました。

グランド借用やその他こまごましたことに関して、何人かの責任ある人たちの対応や話しを聞いていて、思い出すのは次に紹介する一枚の写真です。
この写真は2008年冬に少年サッカーチーム視察のためイングランドに行った際、ある<ユースセンター>の入り口に貼ってあった掲示の写真です。
このセンターは、イギリスの中ならどこの町にでもあるようなセンターで、敷地は小さな小学校くらいですが建物は平屋で、立派ではないがとりあえず芝のグランドが併設してある施設です。活動としては、スポーツだけでなく文化的活動もしているようです。静岡市の公共体育館、公民館に比べれば、はるかに貧弱な施設に見えました。(一か所しかみていないので、イギリスの同様な施設すべてについていえるかどうかはわかりませんが。)

ただ、この掲示の内容には、ショックを受けました。

“putting young people first”

(「若者をまず最初にしよう。」)

もちろん、若者にむけたセンターですから、若者を優先(put first)するのは当たり前でしょう。また、イギリスだけでなくヨーロッパ、アメリカでは小、中、高等学校では授業が終われば子どもたちは家にすぐ帰されますから、休日や、学校終了後の施設が必要とされるのは当然です。
しかしながら、子どもに与える<環境>についてのこれだけはっきりした主張を聞く、見ることは、今までの私の経験の中で多分なかっただろう、と思います。単なるきれいごとかもしれません。だとしても、インパクトがありました。

2013年にわれわれはイングランド遠征を予定しています。サッカーの試合も楽しみですが、ほかにもいろんな人に会い、いろんなものを経験するいい機会だと思います。

この写真の下の影はダレ?)